豪気節(旧制高知高校第一回生)余田弦彦作詞
一ツトセ 一人のあの娘が恋しけりゃ潮吹く鯨で気をはらせ
そいつ豪気だね
二ツトセ 故郷忘れょか若き身に桂の浜に星が飛ぶ
そいつ豪気だね
三ツトセ 南の海や土佐の国革命と自由の生まれし地
そいつ豪気だね
四ツトセ 善し悪し騒ぐな野暮な奴飲めや歌えやはね廻れ
そいつ豪気だね
五ツトセ 意気は尊い血が燃ゆる黒い女にゃ慕われる
そいつ豪気だね
六ツトセ 無為に過ごさぬ三年の元気はみ国の宝なり
そいつ豪気だね
七ツトセ 泣いちゃいけない気が弱い二十世紀に吼ゆる身じゃ
そいつ豪気だね
八ツトセ 優しい心もないじゃない浦戸の沖に鳴く千鳥
そいつ豪気だね
九ツトセ この浜よする大波はカリフォルニヤの岸を打つ
そいつ豪気だね
十 トセ 時は永劫じゃ常夏の土佐の高知の胸の意気
そいつ豪気だね
高知高等学校第一回卒業生、余田弦彦は、熱血の詩人で高知に多くの逸話と寮歌を残したが、京大法学部在学中に、惜しくも病没した。彼の歌の中で、一番愛唱され、日本中に有名になったのが、豪気節である。
「この浜」で焚火のまわりに方を組んで、豪気節を歌い、樽酒を汲む三春の行楽、中秋の観月は、高知高校生の血を湧かせ、生涯の思い出となる年中行事となった。
「カリフォルニヤの岸」は、当時としては極めて壮大な、青年の気宇を表すものである。
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